匿名2012/4/10 23:21:05ID:ded384da8a02
状況によって違うやり方がとりうると思いますが、一つのストーリーとして参考までに。あくまで私見です。
破産手続を進めるべきかどうかに若干疑問がありますが(いずれ生活保護を受けるということなので)、一応、破産手続きは進めるべきであるとします。
後見開始申立はいずれにせよいったんは必須と思いますが、後見開始申立の目的が破産手続きを進めることにあるとし、破産手続きが終了して資産がなくなれば保護開始予定であり、その時点で後見人を辞任することを前提とする、という方向ではどうでしょうか。
もちろん裁判所との協議が必要です。
それでいけるとして、もっとも良いのは、後見人には破産手続準備中だった弁護士が就任し、後見人弁護士が破産申立を行うことと思います。
そして、後見人の報酬を、家裁の審判を得てもらいます(想定していた代理人報酬の額とは異なる可能性はありますがそれはやむを得ません。報酬付与に際し考慮してもらいたい事項は申立の際記載して下さい)。
後見は、財産的な部分と身上監護的な部分がありますが、破産手続後かつ生活保護受給中は財産はないわけですし、保護を受けるなら、ケースワーカーが身上監護的な部分もある程度担ってくれると思われるので、ありうる話と思います(家族・親類がいるなら、身上監護はそもそもその方々にも任せられます)。
福祉事務所等との協力・調整は必須です。
頑張って下さい。
blossom2012/4/11 10:21:47ID:ea978bdc7d95
ご回答ありがとうございます。
大変参考になりました。
自分達や弁護士だけでは分からない部分が見え,大変勉強になりました。
本当にありがとうございました<(__)>
某弁2012/4/11 14:52:11ID:8566b1afa03d
最初に依頼を受けた時点で,行為能力があったのであれば,破産の委任は有効です。委任者が後見開始の審判を受けたことは,委任の終了事由となっていません。
そのため,法律上は,当初の依頼に基づいて申立てをする権限はあります。ただ,資料収集や免責審尋をどうするかなどの問題があるため,その意味で後見人を選任する必要があると思います。
その場合でも,まず,弁護士本人が後見人となるのではなく,親族に後見人になってくれる人がいないか打診したほうがいいでしょう。
報酬がもらえないという理由は,辞任を認める「正当な事由」にはあたらないため,破産手続が終わった後に辞任ができるかは疑問があります。
blossom2012/4/11 16:47:35ID:ea978bdc7d95
ご回答ありがとうございます。
戴きましたご回答について,1点教えていただきたいのですが,ご依頼当初,ご本人に委任状をお書きいただき,その意思はおありだったのですが,その時点からすでに3ヶ月以上が経過しており,裁判所提出における書類の期限は切れております(日付は空欄にはしています)。
この場合,委任契約時にご本人意思が確認できれば,委任は有効ということでよいのでしょうか?
大変恐縮ですが,ご回答いただければ幸いです。
宜しくお願い致します。
某弁2012/4/11 22:02:40ID:8566b1afa03d
一度契約をした以上,解除の意思表示をするか委任の終了事由に該当しない限り,契約は有効です。期間の経過のみで委任契約は終わりません。
そのため,法律上は,代理権はあるし,当初の契約に基づいて報酬をもらう権利はあります。受任者としての義務もあります。
ただし,代理権があるからといって,そのままの状態で申立てをするかどうかは別の問題です。当初の委任の時点で行為能力があったのか問題となるリスクがあります。行為能力がなくなってからの日付を委任状に書くことの問題もあります。
そのようなリスクを避けるため,後見人をつける必要があると思います。
匿名2012/4/11 22:06:22ID:ded384da8a02
昨日コメントした匿名です。
某弁さんのおっしゃるとおり、弁護士との委任契約自体は、本人の意思能力喪失により終了するわけではないと思います。
しかし、民訴法的には、訴訟行為を行うには当事者に訴訟能力が必要です。
本人が意思能力を欠いていると破産手続を進めていくことが事実上困難というより、もし本人が意思能力を欠いている状態で代理人が破産申立をしたとしても、法的には有効でない可能性があり、後日、権限ある者から追認されればさかのぼって有効になる余地があるだけと思います。
そして、話は戻って、委任事務の進め方としても、本人の意思確認ができない状況で進めるのは危険であり、すべきでないと思います。
あと、報酬がもらえないというのは後見人辞任の正当な事由に当たらないというのはそれ自体はそうかもしれませんが、私自身は、特定の法律事務をする目的かつ当該特定の法律事務が終了したら辞任するという前提で弁護士が後見人に選任され、当該事務終了後後見人の辞任許可を受けたケースは実際に経験がありますし、他にも似たようなケース(特定の法律事務が終了したら、後見人を弁護士以外の者に交替することを予定しているケース。)があります。
実際、財産もなく身上監護を務める者が別途いる場合に、後見人として(報酬の高い)弁護士が必要な理由もないと思いますし。
ただし、管轄の家裁によって考え方・取り扱いは違うかもしれません。
また、実際、後見人は長期にわたり続くのが普通なので、後で予定外の事態にならないよう就任前に裁判所と確認しておく必要があります。
本人に、後見人を引き受けてくれるような身内がいれば、その人に後見人になってもらい、その方から改めて破産手続の委任を受けるというやり方は、もちろんそれもよいと思います。
しかし、親族に適当な後見人候補者がいない場合や、破産手続という法律事務が予定されているために初めから弁護士である後見人が相当と判断される場合もあり得ると思うので、そういうときには今まで破産準備を進めてきた弁護士が後見人になるとスムーズであり、弁護士報酬が二重になることもなくよいのではないかと考えて記載した次第です。
某弁2012/4/12 10:24:46ID:8566b1afa03d
ded384da8a02様
委任事務の進め方として,後見人をつけない状態ですべきでないという点は一致していますので,できるかぎり簡潔に述べます。
意思無能力者(行為能力制限者)であっても,代理人が代わりに訴訟行為をすることはできます(特別の授権が必要な場合を除く)。これは,法定代理でも訴訟代理でも代わりはありません。訴訟代理の場合,行為能力がある時点で委任をしていれば,「訴訟行為をするのに必要な授権」が行われています。委任が終了していない以上,この授権は残っています。したがって,理屈上はできるという結論になると思います。
blossom2012/4/12 17:24:50ID:ea978bdc7d95
再びのご回答ありがとうございます。
大変勉強になりました。
「委任」ということについて,改めてきちんと考えることができました。
ご意見を踏まえ,手続を進めたいと思います。
blossom2012/4/12 17:25:27ID:ea978bdc7d95
再びのご回答ありがとうございます。
大変勉強になりました。
「委任」ということについて,改めてきちんと考えることができました。
ご意見を踏まえ,手続を進めたいと思います。
blossom2012/4/12 17:31:57ID:ea978bdc7d95
再びのご意見ありがとうございます。
やはりこの仕事は,細かに様々なケースがあり,その都度事態が違うため,悩ましいものです。
匿名様のようなケースがあることを知ることができ大変参考になりました。
ありがとうございました。
blossom2012/4/12 17:33:28ID:ea978bdc7d95
↑ 上記お名前を,記載間違いをいたしまし た。失礼いたしました。
匿名2012/4/13 01:32:01ID:ded384da8a02
トピ主さまの本題とはずれてしまってすみません。
が、一応。
某弁さま
私は、このような事例において、有効な授権がないと考えているのではなく、訴訟要件の欠缺があるのではないかということを危惧しています。
民訴法のコンメンタールもいくつか見てみましたが、例えば、日本評論社「コンメンタール民事訴訟法Ⅰ」では「訴訟能力を有しない者が自らまたは訴訟代理人を選任して…訴えの提起その他の訴訟行為を行ったとしても,それらの訴訟行為は、無効である」(324頁。民訴法34条解説部分)と記載されています。
もっとも、無効とはいっても追認による補正は可能であり、また、本人に利益な訴訟行為は有効に解する傾向もあるようですが(しかし破産申立が本人に利益なのかはわかりません)。
とりあえず従前に委任を受けた代理人が、破産申立書を作成して提出すること自体はできるかもしれませんが、不適法な状態であり、提出後、裁判所から補正命令を受けると思います。
訴訟能力の有無は裁判所の職権探知事項ですし、裁判所としても申立人の訴訟無能力を看過して裁判をしたくはないでしょう。
申立側としても、申立後、補正命令を受けてから後見人を選任し、その後見人から追認されなかったりしたら、破産申立をしたことが無駄になってしまいます。(例えば後見人が、もう破産・免責申立する必要はない、と考えたら。実際私は、このような場合に破産手続きをし、免責を受ける意義があるかは疑問がありうると思っています。)
まあ、本論からずれると思いますし、理屈ばかりいっても有益ではないと思いますので、このへんで。