人材コンサルタント直伝!法律事務所向け☆就活塾
第8回「面接で注意するポイント」
みなさんこんにちは、人材コンサルタントのMです。
面接とは緊張するものです。
緊張しない人はほとんどいらっしゃいません。
私は多くの方の面接に立ち会い、面接対策も数多く担当しています。
真剣に就職活動に臨まれる方ほど、それなりの緊張感があるものです。
そんな方に「緊張しないでください」ということほど不毛なことはないですよね。
私は「むしろ緊張するということは今回の面接に真剣である証拠なんですから、いいことですよ。まずはその点で今のご自身を認めてください。」といつも思っています(時にはその様にお伝えすることもあります)。
さて今回は、緊張しても気を付けるべきポイントについて簡単にお話しします。
「緊張しないでおこう」という自分への言い聞かせは、その方法もわからないので無理でしょう。
しかし、具体的に「緊張したらこんなサインが出るんだ」がわかっていれば、そのサインが出た時に気付き、対処することが出来るかもしれません。
≪緊張サインの一例≫
- ・声が小さくなる
- ・早口になる
- ・目を合わせられない
- ・身振り手振りが増える
- ・間の悪い相槌や返答をしてしまう
- ・表情がかたい
例えば声の大きさ、話すテンポの対処法ですが、これは「面接官に合わせる」です。
同じくらいの声の大きさ、同じくらいのテンポを意識すれば、具体的な目安があるからこそ対処出来る可能性を生むことが出来ます。
その他項目についても、"緊張したらこうなるんだ"がわかっていれば「緊張しない」という言い聞かせではなく「目を合わせる」「笑顔でいる」という様な、具体的な方法を意識することが出来ます。
もし、周囲に手伝ってくれる人がいるならば、一度模擬面接をしてみるのもいいですね。話し方の特徴や口癖があれば発見することが出来ます。
面接という限られた時間のなかで、特徴的な印象(特にネガティブなもの)は過大に残る懸念があります。
皆さんが面接を受けた時、相手の印象がそうであるのと同様です。
一般的な面接マナーが守られていて、そして柔らかな表情で相手の目を見てしっかりと"伝えようとする姿勢"を感じてもらうことは、求職者にとってとても大切なことなんですね。
~つづく~(不定期連載)
第7回「法律事務所での面接」
みなさんこんにちは、人材コンサルタントのMです。
前回、法律事務所における面接でのワンシーンをご紹介しました。
今日は、「法律事務所での面接」について皆さんにお話しします。
「法律事務所での面接」の大きな特徴は、面接官(採用担当者)が基本的に"弁護士"だということです(事務所規模によっては総務・人事セクションの方、または事務局長などの場合もあります)。
企業ならば多くの場合、よほど小規模でない限りは人事の専任または兼任者がいます。
そして、いざ採用活動となれば前回以前より積み上げてきたノウハウがあったり、書籍等で情報を得たりして、事業所にとって重要な"採用活動"に対して妥当な時間と労力を投じることが出来ます。
しかし、弁護士という職業の方は皆さん昼夜問わず依頼者の法律問題に向き合っており、とにかく忙しいんですね。
そういう一人のプレイヤーである法律家が、有事には採用に関する一切を取り仕切らなければならない立場にあるということは、体系的に積み上げられた情報に基づく面接ではない面接が起こり得るということを意味します。
「志望動機を聞かせてください」という様な、明確に志望動機を確認する質問があれば安心ですね。
面接官の聞きたいことの意図が明瞭です。
しかし、同じ志望動機に関する質問でも「なんでまた・・・ね?」や「どうしてこの業界に?」という問われ方がされることも珍しくありません。
今、皆さんは平常心でしょうから「それは志望動機を聞く質問じゃないか」とすぐにおわかりになると思いますが、ただでさえ緊張する面接で、しかも相手は普段接触することのない弁護士となれば緊張の度合いはそれなりのものになります。
その様な緊張状態のなか、明瞭ではない問いかけに今と同じ様に冷静に答えることはかなりの準備がなければとても難しいものです。
「得意業務を教えてください」はわかり易くても、「○○さんが当事務所で働いてくださるとなれば、もちろん現在の事務員さんに比べると経験がない状態からのスタートになりますよね。いや、未経験がダメということではなくて私はそういう方にこそ頑張ってもらいたいと考えているんですが、それでも特殊な業界ということもあって経験値の差はありますよね。例えばそんな職場であなたが自信を持てるものって何がありますか?」と、会話の様な形式で説明が続き唐突に問われた場合に、どの様に回答することが適切なのかを考え探って焦ってしまうことは容易に想像出来るものです。
大切なことは "相手の質問の意図を考えること" です。
何をもとに意図を考えるのかというと、それは弁護士という職業、法律事務所という業界・職場に関する情報です。
どういう業界・職場かを理解し具体的にイメージしておくことで、「あぁ、このことが聞きたいんだな」というあたりをつけることが出来る様になります。
情報収集によって得たものに対し、自己分析で掘り起こしたご自分の情報を届ける。とっても地味ではありますが、それが面接や就職活動の基本であり、最も効果的なアプローチなんですね。
結局は基本についてお話ししただけとお感じかもしれませんが、現場での質問のされ方を知り、「そんなことがあるんだ!?」という心構えが出来ただけでも、数分前のあなたより"素敵なパラリーガルとして働く未来"に一歩、確実に近づいていらっしゃいますよ。
そして最後に一つ、皆さんの緊張が少し和らぐこともお教えしましょう。面接官の先生も、不慣れな面接で少なからず緊張していらっしゃることがありますよ。さぁ、はりきって準備準備!
~つづく~(不定期連載)
第6回「ちょっとひと休み(余談)」
みなさんこんにちは、人材コンサルタントのMです。
先日、昭和レトロの雰囲気漂う喫茶店にて打ち合わせをしていました。
寡黙なスポーツマンタイプのマスターが、静かにコーヒーを淹れる、静かで落ち着きのある空間でした。
打ち合わせも粛々と進んでいく中、一組のお客さんが入ってきました。
ご年配の女性二人組でした。大きな声でよく喋る、"賑やかなお二人"でした。
そしてひとしきり盛り上がりようやく
「いつものやつ、ちょうだい」
と注文をしました。
「あぁ、常連さんなんだな」と思った矢先、私は耳を疑いました。
寡黙なマスターが
「いつものやつ・・・って、すいません。わかりません。覚えていません。」
と返したのです。
私は「自分ではそう(常連と)思っていても、必ずしも相手が同じ様に認識しているわけではない」という、就職活動にも通じるエッセンスを、思わぬシーンで再確認出来ました。
~つづく~(不定期連載)
第5回「情報収集してますか?」
パラ子「M主任、おかげさまで書類選考が通過しました!次はいよいよ面接です...!!」
M主任「パラ子さんおめでとうございます!ではさっそく面接対策ですが...。その前に、パラ子さんは法律事務所についてどれくらい情報収集されました?」
パラ子「えっと...。弁護士が主役の2時間ドラマを見ました!パラリーガルも登場しました!」
M主任「...それはちょっと情報収集とは言い難いですね...。就活塾の第3回で『就職活動とは自分を売り込むプレゼンテーションだ』とお伝えしましたが、そのプレゼンテーションには情報収集が不可欠なんです。面接の前に(本当はもっと前からしてほしかったけれど...)しっかり情報収集しましょうか。」
『情報収集』と聞くと何だかとても堅苦しく感じる人もいるかもしれませんが、単純に「相手を知ること」です。どんな相手(就業先)かも知らずにアタックしたところで、相手が何を好み、何を好まないのかがわからない以上、その反応を予見し備えることは出来るはずもありません。"法律事務所はどんなところか"について少しでも多く知ることが、効果的な就職活動のベースとなるのです。
ここで一つ、実際にあったワンシーンをご紹介します。
しっかりと準備した書類によって面接に進んだAさんは、面接においても担当弁護士の意図を理解し、時には質問への回答+αの自己アピールを交えつつ、良い雰囲気で受け答えが出来ていました。コミュニケーションスキルに自信もあり、その柔軟な対応力に弁護士も安心した状態で面接も終盤へと差し掛かりました。
なんとなく雑談めいた質問が出始めた頃、不意に弁護士から
「Aさん、弁護士という職業にはどの様にして就くか知っていますか?」
と訊かれました。
弁護士からすれば「〈法律事務所=弁護士のいる事業所〉なのだから、この程度のことは基本的に把握している情報」という考えがあってのことでしたが、なんとAさんはこれを全く把握していなかったのです。
些細なことで不安が生じた弁護士からは
「法曹三者を知っているか?」
「他の士業を知っているか?」
「それぞれの士業の業務内容は?」
と、このことさえ無ければ出なかった様な質問が続きました。
そして勿論Aさんはどれにも回答することが出来ないばかりか、少しのつまずきに動揺してしまい、それまでの対応力と雰囲気も目に見えて崩れていってしまいました。
採用者側の立場で見れば、就職活動という大切な動きのなかで、その対象となる業界について基本的なことも調べなかったAさんに対しては、
「採用後も、十分な下調べ(確認)をせず諸業務にあたる人ではないか」
という懸念が生じて当然です。
採用者は「書類や面接で出来ないことは仕事においても出来ないこと」と判断します。決して「採用した後は大丈夫だろう」などと楽観的な期待値をもって見てはくれません。
これはほんの一例ですが、情報が得難い業界と言えども
「法律事務所とは?」、「弁護士とは?」、「パラリーガルとは?」
ということについて様々な方法で情報収集に取り組むことで、当たり前ですが情報収集前に比べて自信をもって就職活動に臨むことが出来ます。
その中で、「どの様なスキルが求められるか」がわかればご自分のスキルの表現にメリハリもつけられるでしょうし、「パラリーガルの具体的業務内容」を知ることで就業に備えた自己研鑽・準備も出来る様になります。また、情報収集によって業界について少しでも知っていることで、面接官である弁護士たちとの共通言語が増えることになります。
パラ子「大変だ...。ドラマ見ている場合じゃない!!」
M主任「少しの努力で出来ることは就職活動のなかには色々とあります。求人の少ない業界だからこそ、少しの努力をしなかったことで残念な結果が出てしまうという後悔はして欲しくありません。『彼を知り己を知れば百戦して殆うからず』ということですね。」
~つづく~(不定期連載)
第4回「文章は読みやすい長さを意識しよう」
みなさんこんにちは、人材コンサルタントのMです。
今回もまた、ある方の職務経歴書をもとに、応募書類作成のポイントを見ていきましょう。
まずは略歴です。
【略歴】
平成20年3月大学卒業後、ABC損害保険株式会社に就職し、損害サービス担当社員として保険金支払い業務に従事し8年5ヶ月働いた後、退職し法律事務所に転職し現在に至ります。現在は、弁護士補助、来客対応、電話対応、その他所内の庶務を担当しています。弁護士の先生方の業務が円滑に進むようサポートを心がけています。
・月あたり平均70件の新規の請求を受付け、以前からの受付している案件と並行して80~100件の案件を担当。
一文が長く、歯切れの悪い印象を受けますし、複数の要素を盛り込み過ぎて伝えたいポイントがぼやけてしまっています。また、唐突に最後の文章が差し込まれている様に感じます。文章全体のバランスにもう少し留意していただいた方が良いでしょう。以下、私の修正案です。
《M主任修正例》
○○大学○○学部を卒業後、ABC損害保険株式会社に入社し、8年5か月の間保険金支払い業務に従事しました。現在はXYZ法律事務所にて弁護士補助業務(法律事務、一般事務)、庶務を担当しています。日々の業務の中では、先生方の業務が円滑に進む様な正確・丁寧なサポートを心掛けています。
・月あたり平均70件の新規請求を受け付け、既存案件と並行して常時80~100件を担当。
いかがでしたか?続いて、自己PRを見ていきましょう。
【自己PR】
前職損害保険会社では交通事故等の発生時の保険金支払い業務を一通り行っておりました。契約者および交通事故の当事者、関係者へ基本的に全て電話にて対応しておりましたので、電話口の相手方の様子を察知し、冷静に対応することができます。電話では表情が見えない分、より慎重に対応し、対面で話している場合と同様に表情豊かに話すことを心がけております。また交通事故解決のため、相手方との示談交渉や弁護士との打合せ等も自ら行っておりました。
仕事上において(※1)自社システムを用いて作業しておりましたので、正確に入力することができます。(※2)
新人教育にも携わり、教えることの難しさを体感しながら成長することができました。
これまでの経験を糧に現在法律事務所において、弁護士補助を中心に電話対応、来客対応等、その他庶務全般をしております。(※3)未経験からスタートし、できることも増えてきたことによって、新聞、テレビなどの時事問題を見た際、法律に関して取り上げられている専門用語の意味などわかるようになってきたことなどから法律と触れあう仕事の面白さを実感し、専門知識を学びながら責任ある仕事をしていきたいと思うようになりました。(※4)
(※1)
重複する表現かと思います。「仕事上」または「仕事において」とするべきですが、絶対必要なフレーズではないため、次の文章に説明を委ねると良いかと思います。
(※2)
「自社システムを使用していた」ので「正確に入力できる」という説明になっており違和感があります。場合によっては「自社システムでなければ正確な入力ができない」と穿った見方をされるリスクもあります。「常時パソコンを使用する業務だったので、入力速度や正確さを身に付けている」という様なベクトルの文章が良いです。
(※3)
「経験を糧に」と大仰なスタートをすると、読み手としては"具体的にどの様に経験を活かせているのか"という部分に期待感が高まります。その説明が無いのであれば期待値が高かった分マイナスポイントとなるリスクが生じるので注意が必要です。
(※4)
一文が長く、伝えたいポイントがどこにあるのかがぼやけてしまっています。文章を短くすることが苦手であれば、一度最短文節に分割し、その後意味合いとして適当になる様に文節を繋げていってみては如何でしょうか。せっかくボリュームを割いているのですからしっかり伝えないと勿体ないです。
(※3.4)《M主任修正例》
この様な経験により培った状況に応じた対応力や相手の立場で考えるコミュニケーションスキル、そして正確なOAスキルを活かすことで、弁護士補助を中心に電話・来客対応やその他庶務全般を担当しています。
未経験からのスタートでしたが業務範囲が広がるにつれて専門的な法律用語もわかる様になってきました。同時に、新聞やニュースなどで取り上げられる問題をこれまでと違った角度で見られる様になり、法律と触れあう仕事の面白さをより強く感じています。そしてこれからも今まで以上に専門知識を習得し、責任ある仕事を続けていきたいと考えています。
文章を読みやすい長さにすることによって、伝えたいポイントも明確になってきます。応募書類を作成する際は、意識してみてくださいね。
~つづく~(不定期連載)
第3回「自分をプレゼンしよう」
みなさんこんにちは、人材コンサルタントのMです。
今回は少し視点を変えて、就職活動の考え方についてのお話です。
就職活動とは何か、それは自分を売り込むプレゼンテーションです。
「採用したいな」と考えているところに、「私を採用してください」と売り込むプレゼンテーションです。
お店に買い物に行った時、一番頼りになるのは商品について詳しい店員さんですよね。商品について詳しくない店員さんにお世話してもらおうとは思わない、そんなお店で買い物したいとは思わないのは当たり前の様に理解できると思います。商品について熟知している店員さんに、今自分の求めているものを理解してもらったうえで売り込んでもらえた時、「その品の価値=自分にとっての価値」と認識し、納得して購入します。この場合の店員さん(プレゼンター)が就職活動における"あなた"です。
まず必要なことは、自分についてしっかりと熟知することです。そのためには時間をかけた自己分析が必要になってきます。そして売り込む先についての情報収集も同時に行わなければなりません。自分の情報と相手の情報、その重なるところ(図の黄緑の部分です)をアピールすることこそが有効なプレゼンテーションとなるからです。
相手が「事務処理のスキルについて知りたい」と思っているのに、「私は忍耐力には自信があります」という情報をぶつけても響かない、当たり前ですよね。
相手の立場で考えることが大切です。情報収集によって相手の立場を知り、自己分析で浮き彫りにした自分の情報を、適切な形で相手に届けるだけです。
~つづく~(不定期連載)
第2回「人材コンサルタントの目線:ココが気になる!」
みなさんこんにちは、人材コンサルタントのMです。
前回はパラ子さんの例を使って、採用側(応募書類を見る側)の目線で応募書類を作成することの重要性をお伝えしました。
ただ、いくら重要なのは分かっていても、一人で作成し何度も読み返すうちに、自分では「見る側目線」が分からなくなってしまうこともありますよね。
今回は、別の方の自己PRを元に、「見る側目線」の例を挙げていきましょう。
◆自己PR
これまでの職務において、下記の2点をモットーに業務に取り組んでまいりました。
■計画的な業務の遂行
前職の総務事務において、上司から複数の案件について同時に指示を受けることがあり、指示内容に不明な点がある場合は、上司や関係部署に確認し、業務の優先順位をコントロールいたしました。また、(注1)次の業務を推測し備えることで、スムーズに対応できていると評価をいただきました。 (注2)業務は就業時間内に処理することで、迅速かつ的確な事務処理能力が身につきました。
(注1)「推測し備えスムーズに業務処理を進められること」によって、結果的に「評価された」のだと思いますが、この関係性がやや不明瞭です。「原因→結果」の関係性を整理してみると良いかと思います。
(注2)前述と同じく正確には「時間内に処理する意識を高くもつこと」で、「迅速かつ的確な事務処理能力」を培ったのだと思います。
■心配り (注3)
顧客の個人情報の取り扱いには、特に注意を払っていました。離席する際には必ず、使用中のドキュメントは閉じ、パソコンモニターを消す、資料はキャビネットの中に入れるなどして対応していました。
(注3)個人情報の取扱いに十分な注意を払うことを「心配り」と題してしまうと、やや違和感を覚えます。具体的エピソード(アピールしたい内容)を個人情報取扱いの意識とするならば「情報管理への意識」など、内容と違和感なく整合するものを選択された方が良いです。
いかがでしたか?
最後にわたしの修正案をご紹介しますね。
《M主任修正例》
■計画的な業務遂行能力
前職の総務事務では、上司より複数案件について同時に指示を受けることが珍しくありませんでしたので、必要に応じ上司や関係部署へ確認を取りつつ、優先順位をつけて対応していました。そして、就業時間内に処理することを強く意識し仕事に臨むことで、的確かつ迅速な事務処理能力を培ってきました。また、業務スケジュールを立て、次の工程を予測し備えることにより、スムーズな業務遂行へと繋げられた点について評価をいただきました。
■情報管理への意識
顧客の個人情報の取り扱いには特に注意を払っていました。離席する際には必ず使用中のドキュメントを閉じてパソコンモニターを消し、資料はキャビネットへ片付けるということを徹底していました。(注4)この意識は、多く個人情報を取り扱う法律事務所では特に重要な意識だと考えています。
(注4)就職活動は"自身を売り込むプレゼンテーション"であり、応募書類は大切な"プレゼン資料"です。「私はこれができます」だけで終わってしまうと、「その良さがどう活きるか」という就業後のシーンは、書類選考担当者の想像力に頼ることになり不安が残ります。それでは勿体ないですから、「この能力は新しい職場でどの様に活かせます」という具体的なイメージを、直接的に相手に共有してもらう表現は大切です。
~つづく~(不定期連載)
第1回「応募書類は誰に向けて書くの?(後編)」
リーガルフロンティア21の人材コンサルタント、M主任に応募書類(履歴書・職務経歴書)の添削を依頼しているパラ子。
前回に続き、自己PRの書き方について教わっています。
パラ子作:自己PR(前回の続き)
そして、エクスターンシップ(※)を通じて、自分には弁護士の先生方のサポートをする法律事務職員が、4年にわたって勉強して得た法的な知識を活かすとともに、私の特性を活かせる職種であると感じ、志望するに至りました。
パラ子「ここでは、アピールしたい内容をぎっしり詰めてみました!」
M主任「主語・述語のシンプルな構成以外に、途中途中で修飾表現が入っていますね。装飾表現が多いと、読み手にスムーズな理解をしてもらえない可能性があります。」
※エクスターンシップ...法科大学院生が法律事務所や官公庁、企業などで実習する制度のこと。
パラ子作:自己PR(続き)
これまでの私の経験、学んだこと、長所をいかんなく発揮し、満足度の高い業務を遂行できるレベルの高い事務職員を目指していきたいと思っております。
M主任「『何を経験し、学び、そして長所が何なのか』を書類選考担当者は知りませんので、具体的に表現しなければ伝わらないどころか、場合によっては求職者としての姿勢にネガティブな印象を抱かれないとも限りません。また、誰にとって『満足度の高い業務を遂行できる』のかも読み取ることは出来ません。説明が割愛された"不親切な内容"になってしまっていますので、事前情報を持たない読み手にとって"親切な"内容・表現を心掛けてください。」
パラ子「私の書いた自己PRは、読み手に"不親切な内容"になっていたのですね...」
M主任「どうでしたか?最後に私が考えた例をお伝えしますね。もう一度パラ子さんも練り直してみてください。」
例)(前編の内容含む)
在学中に学童保育などのボランティア活動を行っておりました。そこでは、明朗快活であることを意識して活動しておりました。そして、一緒に過ごす時間を心から楽しんでもらいたいと強く意識することで、相手の目線で物事を捉える考え方を身に付けることが出来ました。その後、エクスターンシップを通じて現に法律事務所での業務を経験したことで、これまで学んできた法的な知識や自分の「サポート役に向いている」という特性を活かせる仕事は法律事務職員しかないと強く感じました。
これまでの○○○で培った経験や知識、そして○○○という長所を発揮し、高いレベルで先生方のサポートが出来る法律事務職員を目指していきたいと思います。
パラ子「M主任ありがとうございます!もう一度自分なりに考えてみます!」
~つづく~(不定期連載)
第1回「応募書類は誰に向けて書くの?(前編)」
リーガルフロンティア21の登録スタッフとして法律事務所への転職を目指すパラ子。
以前より人材コンサルタントのM主任に応募書類(履歴書・職務経歴書)の添削を依頼しています。今日はアポイントを取って直接応募書類を提出しに来たようです。
パラ子「M主任、今日はお時間をいただきありがとうございます!応募書類を作成して参りました。今回は自信あります!」
M主任「どれどれ、拝見しましょう。............うーん、これではまだ完璧とは言えないですね。。。」
パラ子「えっ...(絶句)。どこが悪かったのでしょう?」
M主任「応募書類のポイントは"相手の知りたい情報を提供し、かつ自分のアピールしたいことをどう整合させるか"です。試しにパラ子さんの自己PRを一緒に見ていきましょう。」
パラ子作:自己PR
学生時代に学童保育などのボランティア活動を行っておりましたが、そこでは明朗快活であることを心がけて活動させて頂きました。また、一緒にいる時間を心から楽しんでもらいたいと思い活動することで、相手の目線に立つことを学ばせていただきました。
M主任「『させていただきました』が2回出てきますね。敬意の対象が不明な敬語は、ともすれば『ビジネスシーンで正しい敬語を使用できない人』というネガティブな印象を与える懸念があります。」
パラ子「丁寧に書くことを意識しすぎて、敬意の対象を見失っていました...。」
M主任「例えば、以下のように書いてみたらどうでしょう?」
在学中に学童保育などのボランティア活動を行っておりました。そこでは、明朗快活であることを意識して活動しておりました。そして、一緒に過ごす時間を心から楽しんでもらいたいと強く意識することで、相手の目線で物事を捉える考え方を身に付けることが出来ました。
パラ子「文章がすっきりして、わかりやすい!」
M主任「敬語を使うときは、敬意の対象を意識するようにしましょうね。」
~後編につづく~