基本契約とは、詳しく教えて下さい。
匿名2010/11/22 23:51:55ID:3b335be0fa05
かなり難しい質問と思います。
包括契約と基本契約とは異なる概念である。
1 包括契約とは、行政庁が、民法の消費貸借契約の本質に反しないものとして認めた金銭消費貸借契約で、あらかじめ定める貸付けの具体的条件に基づき、反復継続して貸付けを行う契約である。
基本契約は、最高裁ロプロ判決で最初に認められたものであるが、何が基本契約になるのかについては、明らかにされていない。
最高裁判例上認められたものとしては、
①ロプロ判決のロプロ(商工ローン)のもの
②オリコ判決(平成19年6月7日)など、オリコ(信販会社)のもの
③クオークローン判決(消費者金融)(平成20年1月18日)
などがある。
このうち最初に認められたロプロの場合には、基本契約は締結されているが、個々の貸付けは手形貸付の方法によるもので、個々の貸付けごとに手形が作成さ れ、融資の可否についての審査もなされる。その点で、「反復継続して貸付けがなされる」ものといえるかは疑問 がある。
さらに、商工ローン の旧商工ファンド(SFCG)は、各貸付け行為ごとに、契約書を作成し、約定利率や返済方法が各貸付けごとに異なるが、最初の貸付け行為後にも、後から貸 付け行為が行われることを予定した基本契約書を作成しており(平成11年以前は特に明確である。)、この契約も基本契約と認められている。
そこで、包括契約であれば、基本契約とみうるが、基本契約であるからといって、包括契約の要件を満たすわけではない。
2 何故異なるのか。
これは、契約の目的が異なるからである。
ア 信販会社や消費者金融会社の場合には、従前行なっていた契約方法を貸付け方式を認めてもらわないと困る。
特に、出資法の上限金利が109.5%から貸金業規制法の制定により平成3年までに段階的に40.004%と下げられるのであるから、小口の貸付けの場合には、ATMなど機械化による貸付け方法を認めてもらわないと企業の存亡にも関わる。
そこで、最初に契約書を作る段階で、金銭消費貸借契約書を作る必要があるし、そして、それは貸金業規制法の規定する17条書面の要件を満たす必要があるし、借入申込書の作成や与信調査などの指示に従う必要がある。
そこで、行政庁は、信販会社や消費者金融会社が行っていた限度額契約を包括契約と名称で、「貸付けに係る契約」として認めたものと考えられる。
イ これに対し、ロプロやSFCGなど商工ローンの場合には、各回の貸付けの金額も100万円以上であることがほとんどで、借入申込書、与信調査はもちろん契約書も毎回作成している。
ロプロやSFCGなど商工ローンが基本契約書を作成するのは、消費者金融会社などの経済的合理性の確保という理由ではなく、根保証人との関係で、主債務の範囲を画する必要があるので、根保証債務が担保する主債務の範囲や期間を明らかにするために基本契約書を作成するのである。
即ち、根保証において、主債務を「貸付取引」として保証契約を締結したりすれば、いわゆる包括根保証契約として、無効とされる可能性がある。
そこで、期間と根保証の限度額を画するために、基本契約書を作成するのである。
このように、根保証との関係で基本契約書を作成するので、必ずしも、その後の貸付けは予定されているとはいえ、反復・継続して貸付けと返済が繰返されることが予定されているものではないので、包括契約ではない。 (ロプロの場合は、手形なので一回で支払うし、商工ファンドの場合にも、個々の貸付けに対し返 済計画が立てられるが、それらが基本契約で括られ、限度額を基本とする根保証債務の対象とされる。)
従って、商工ローンの基本契約の場合には、包括契約の要件を満たさない。
ウ 従って、包括契約と基本契約とは異なる概念である。
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